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幼児教育の大切さ ~何が育っているの?~

2018年8月19日

8月の始めに行われた研修で、大豆生田(おおまめうだ)先生のお話を聞きました。大豆生田先生は、NHKテレビ番組の『わくわく子育て』に時々出演されている方です。先生は、大学卒業後に、男性保育者として幼稚園の先生(実践者)を経験され、その後大学の先生(研究者)となられたとのことでした。実践者としての経験を例としてお話されるので、保育の現場で働く私にとってはその内容はとても理解しやすく、「自分にも同じような経験があったなぁ。なんで、あの時気がつかなかったのかな?」「今ならまだ間に合う!!!」「今度は、必ずこうしてみよう」など、お話を聞きながら、反省したり、アドバイスを受けたり、新しい方法を自分なりに見つけることができました。

今回の研修では、大豆生田先生は、①乳幼児期の教育の大切さとは? ②保育の現場(幼稚園や保育園)で保育者はどのようなことを実践しているのか? ③子どもは保育の中で、どのような経験をして、どのようなことを学んでいるのか? を、私たち保育者が、子どもたちの保護者や一般の人たちにわかりやすく具体的な形で伝え、興味を持ち、理解していただくことがとても大切だとおっしゃいました。今までもそうなるように努力はしていたつもりなのですが、わかりやすい方法で伝えていたのか?と考えると、まだまだだったと反省しました。

幼児期に質の高い教育を受けた子どもは、自尊心が高く、大人になっても生活が安定し、決してお金持ちでなくとも自分は自分なりの生活で幸福だと感じるとの研究データーを例にしたお話もされました。この研究は、アメリカのヘックマンの「ペリープリスクール」の研究でした。ペリー地区は、貧困の地区でしたが、この地区に住む3歳の子どもたちを二つのグループに分け、3年間、半数の子どもたちに質の高い幼児教育(幼稚園に通園する)を受けさせ、残りの半数の子どもたちは、それまで通りの生活(幼稚園には通園しない)をしたという研究です。その3年間では、子どもたちの生活などに関する結果に大きな違いはなかったそうですが、彼らが大人になるにしたがって、だんだんと結果が出たとのことでした。その結果は、学校に行って勉強することを楽しんだり、仕事を長く続けたり、生活に幸福感を感じたり、自分や人を大切にする、そのようなことだったそうです。たった3年間の教育で、その後の生活に差が出たと知り、私たちが実践している幼児教育が、いかに大切なことなのか? 場合によっては、ひとりの人間の将来を決定してしまうのではないか?ということも考え、自分がしている保育の重大さに、今まで以上に責任を感じた講演会でした。

話は変わりますが、宮西達也(みやにし たつや)さんという絵本作家がいらっしゃいます。宮西さんの作品の中に、恐竜を主人公にしたシリーズがあります。絵は独特でとても個性的です。しかし、その内容は、どの話も、人と人(恐竜と恐竜)のふれあいや愛情がテーマとなっており、その大切さが語られています。宮西さんの絵本に『ぼくにも そのあいをください』という絵本がありますが、私はこの絵本が乳幼児教育の大切さや素晴らしさを伝えているように感じました。恐竜の子どもが、ある日ティラノサウルスに出会い、命が危険な時にティラノサウルスから身を守ってもらいました。そしてその恐竜の子どもは大人になり、お父さんになりました。彼は、自分の子どもがほかの恐竜から食べられそうになった時、ずっと前にティラノサウルスが身を挺して自分を守ってくれたと同じように、自分の身を挺して自分の子どもたちを守ったというお話です。作者の宮西さんは、幼い時に経験したこと(教育)が、その人の人生に大きく影響するということを、みんなに絵本を通して伝えているのではないでしょうか?

なが~いなが~い文を、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。幼児教育の重大さを、しっかりと胸に刻み、2学期を迎えたいと思います!!!

 

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