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あそびとおもちゃ

新入園児とおもちゃ

2017年10月29日

幼稚園には、年度初めの4月以外にも、ときどき新しい子どもたちが入園してきます。集団保育を初めて経験する子どももいれば、ほかの幼稚園や保育園で集団保育を経験したことがある子どももいます。いずれにしても、東福岡幼稚園は初めての場所なので、ここはどのようなところなのか? 自分はここに受け入れてもらえるのだろうか? 先生や友だちは、なかよくしてくれるのだろうか? と沢山の不安を感じていることは確かです。 受け入れる方は、優しい気持ちや親切な気持ちで笑顔でその子どもに近づいていくのですが、新入園児は、それを素直に受け入れていいのか? または自分を守るためにしばらくその人たちとは距離をとった付き合いをすれば良いのか?など、最初はとても不安で、迷ったり、戸惑ったりしている様子が見られます。

さて、ここで活躍するのが良質なおもちゃなのです。おもちゃは、コミニュケーションツールとしての役割を持っているので、私たち保育者は、新入園児の様子を見ながら「これで一緒に遊んでみない?」とその子どもの年齢や発達に会うだろうと思われるおもちゃを選び、一緒に遊ぼうとやんわりと誘ってみます。この時に、おもちゃインストラクターやおもちゃコンサルタントとして勉強した知識が生かされるのです。おもちゃにどのような役割があるのか知っていること、そして幼稚園にいる子どもたちが今までおもちゃでどのように遊び、どのように楽しんでいたのか? ということを考え、その新入園児にとって、今、どのようなおもちゃがその不安を救ってくれるのか? どのようなおもちゃが必要なのか? と考えるのです。そして、いくつかの候補を選び、その中で一人でも楽しむことができるおもちゃを提供します。まず、保育者が「こんな風に遊ぶと楽しいよ」とそのおもちゃで遊んでみます。その子どもが少し興味を示したと思われたところで、「遊んでみる?」と優しく誘いかけます。「うん」と言い、おもちゃに触れたり、遊び始めたら大成功!! お互い一歩近づいた関係になったことが証明されたのです。人と人が初めてふれ合う時、おもちゃというクッションが一つあると、相手が自分の守りたい領域に直接、土足で踏み込んでくることはありません。おもちゃを仲立ちとして、お互いの様子を遊んでいる中で探りながら、相手のことを少ずつ知ることができるのです。お互いをそのような関係から始めると、安心できるのは子どもも大人も同じこと。

10月に入園した年少組のA君も、朝登園すると、自分で好きなおもちゃを選んで遊んでいます。しばらくすると、担任の保育者がその遊びに加わったり、また、後から登園してきた子どもたちが、年齢に関係なく「いれて」と一緒に遊び始めたり・・・ おもちゃがA君の友だちとなり、A君とみんなとの仲立ちとなり、A君はおもちゃに助けられながら、今いろいろな人と順調に人間関係を築いていっています。 やっぱりおもちゃの持つ力や意味はすごいなあ!!と、A君の姿を見て、改めて感じた10月でした。

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