過去ログ
おそうじごっこ「ぞうきんしぼり」
1学期の終園式の前日、年中組と年少組と満3歳児が、日頃自分たちが使っている保育室の床の拭き掃除をしました。年少組と満3歳児も、水筒のお茶などをこぼした机を台拭きで、また床を雑巾で拭くことは日頃から経験していましたが、台拭きや雑巾を洗って、絞り、そして干すという経験は、ほとんどしていませんでした。それで、次の課題の「洗う・絞る・干す」を1学期に幼稚園で沢山の経験をした子どもたちが、それらの活動をどのくらい自分なりに理解し、実行できるのかを子ども自身が知り、保育者が一人一人の今後の目標を立てるために、「おそうじごっこ」と言う活動で実行してみました。
当日、子どもたちは新しい課題にとても興味を持ち、やる気満々で取り組みました。最初は小さな雑巾をさらに自分たちの手に収まる大きさにたたみ、各自のロッカーを拭きました。それが終わると、みんなで一斉に床を拭きました。でも、ただ床を拭くだけではだんだん飽きてくるので、自分の正面に来たお友だちと「じゃんけんをする」という遊びも加えました。じゃんけんをするためには、自分からあちらこちらに動いていく必要があり、床を拭く距離も自然に伸び、早くじゃんけんをしたくなって、拭くスピードも上がってきます。保育室の隅っこには拭き残しもありましたが、そこを保育者が拭いていると、誰かが近寄ってきて、一緒に拭きました。課題となる活動の中に楽しい遊びを加えることで、子どもたちは楽しみながら、沢山の経験をしたり、「拭き掃除」「友達と協力する」「一定時間内で目標を達成する」などなど、大切なことを身につけていくことができました。
さて、拭き掃除の後は、「雑巾を洗う」「絞る」「干す」と言う3つの課題がありました。もちろん、最初から方法を教えるということも大切ですが、私はまずは自分でしてみて、子ども自身が経験の中から、自分で課題を見つけることが最も大切だと考えているので、「とにかく、自分で考えたようにやってみよう!」と伝えました。ただ、絞るという動作だけは、想像できない子どもがいたので、自分のしやすい手で反対方向にねじるということだけは伝えました。みんな、ねじると言う動作にはかなり苦戦はしていましたが、なんとなくそれに近い方法を見つけ出し、実行していました。もし、この時に全くできない子どもがいたとしてたら、私はまだその子どもの手の機能の発達が、絞る動作にまで行っていないと判断し、無理に絞る動作はさせないつもりです。子どもたちは、自分でいろいろな課題にチャレンジしたことにとても満足し、「たのしかった!!!」と言い、降園しました。
さて、まだ上手に課題を達成できない場合はどうしたら良いのでしょう? もちろん、同じ課題を毎日繰り返して練習をすると言う方法もあるでしょう。しかし、ここでとても有効なものがあります。それは、おもちゃです!! 例えば、「絞る」ための手首の返しがうまくいかないのなら、カードをめくって遊ぶ様なおもちゃや、サイコロを振って遊ぶことで、手首を使う経験をするもの良いでしょう。子どもはおもちゃで遊んだりや、そのほかのいろいろな遊びを通して遊びながら様々な経験をすることで、いつの間にか必要な機能を獲得することができるのです。機能を獲得するためにおもちゃで遊ぶのではなく、おもちゃで楽しく遊ぶうちに生活に必要ないろいろなことができるようになる、それがおもちゃの役割りだと私は考えます。
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