過去ログ
人間関係と生きる力を学ぶ良質なおもちゃ
先日、園長と職員でキリスト教保育に関する月刊誌を読み、「子どもたちの友だちとのいざこざ」についてお互いに自由に感想を述べあいました。そして人間関係を作っていくことの難しさや大切さを、日頃の保育実践を通して改めて感じ、自分たちの保育を振り返るための良いひと時となりました。
幼稚園の子どもたちは、縦割り保育で満3歳~年長児が一緒に過ごす生活の中で、年下の子どもたちは年上の子どもたちのお互いのかかわりを見ながら、人間関係を学んでいくこともあるようです。子どもたちが人間関係を学ぶ場として、いろいろな経験をする幼稚園などの集団保育が考えられますが、もう一つ、人間関係を学ぶツールとして、良質なおもちゃが考えられます。
幼稚園には、友だちと協力して楽しむおもちゃ、お互いに勝敗を争うおもちゃなど様々なおもちゃがあります。子どもたちは遊びながら、遊びのルールを知りそのルールを理解しそれに従うこと、例えば順番を待ったり、協力したり、勝敗を競ったり、勝つ喜びや負ける悔しさを経験したり、たくさんのことを学んでいきます。友だちと楽しく遊ぶには、良い人間関係を作らなければ一緒に遊ぶことができません。それで、子どもたちはルールを理解し、お互いにそれを守ることで、良い人間関係を作ることができるということを少しずつ学んでいきます。
また、偶然性のあるおもちゃは、幼児にとって必要だと思うのです。もし、全てのおもちゃが、能力や技術のみを必要とするおもちゃであれば、勝敗は常に決まってしまうと思いませんか? 偶然性のあるおもちゃであれば、常に大人が勝ち、常に子どもが負けるわけではありません。保育者が、満3歳の子どもに負けてしまうことだってあるのです。特に、年中児や年長児は保育者に勝ったとなると、得意満面!! 大喜びです!!! 小さく幼い者が弱く、大きく能力や技術の高いのもが優位に立つわけではない。たとえ弱くても、強いものに勝つチャンスはいくらでもある、ということを子どもたちはいろいろな遊びの中から学び、それが「生きる力」「生きる喜び」の一つになっているのではないかと思います。
3月14日は、年長ひかり組の卒園式でした。幼稚園の砂場や昔ながらの固定遊具、保育室のいろいろなおもちゃで日々遊び、多くのことを学んだ小さな小さな幼稚園の子どもたちが、小学校という大きな大きな社会に巣立っていきました。彼らの幼稚園での学びが、小学校生活で良い「人間関係」を作り、「生きる力」となることを心から願っています。
そして、4月になると新入園児が入園してきます。幼稚園のおもちゃで遊ぶことで、たくさんの楽しさと、これから生きていくうえで大切なことをたくさんたくさん学んでいってほしいと思っています。
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