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子育て・あのね

2024年2月の過去ログ

子どもたちの「成長・発達」の速度の違い

2024年2月22日

東福岡幼稚園理事

東福岡教会協力牧師

松見 俊

この原稿を書いているのは2024年2月です。キリスト教会暦では四旬節(レント)と言い、キリストの苦難と復活を覚えて過ごすシーズンです。年長「ひかり組」の園児たちはいよいよ「卒園」、新しい「学校」での生活が始まります。子どもたちも保護者の皆さんもワクワク、ドキドキでしょう。

園児たち、そして、私の孫たちをみていると、少しづつ成長していくのですが、その速度には家庭環境やその子の個性によって「速度の違い」があるように思います。ここでは「成長」とか「発達」という言葉そのものも持つ問題についても良く吟味しなくてはならないのですが、一応、今回はそれを見送ります。ただ、教育論としては、教育とは「社会に馴染み、社会で生きていくためのコツ・ルール」を教えていくという考え方とその子が本来持っている本質や能力を引き出してあげることという2つの考え方があり、その両方のバランスが大切です。「躾」ということを考える時に、保育者も保護者も悩ましい想いをするのでしょう。また、保育・教育・共育の考え方には時代の流れというものも影響していることでしょう。「少子化」「核家族」などです。あるいは乳母車にのってゲーム機をいじっている1歳以下の子の登場なども私の世代では考えられないことです。

また、これはラプズレーという人の考え方ですが、「生命体」には「発達」(development)と「維持」(maintenance)と「参与」(participation)の三要素が必要であると言っています。「発達」「成長」を考える時には、それを維持、支えてあげること、待って、期待して、祈ってあげること、生活の中で、子どもたちがお手伝いなど「参与」を通して成長していくことを頭の隅に記憶しましょう。お友達と遊ぶことも「参与」ですね。

以上のことを踏まえて、「成長」「発達」の速度について考えてみます。幼い子にとっては「早生まれ」の子は小学生の高学年くらいまで影響があるでしょう。3月31日生まれの子と4月1日生まれの子では一年の開きがあるのですから成長のスピードに違いがあるのは当然です。また言語機能などは男女差もあるでしょう。兄弟姉妹、同居親族がいるかどうかも成長の速度の違いに影響しますね。そして何よりもその子が生れ持っている「個性」です。大切なことは、それぞれの子どもの成長・発達の速度は異なっていることを認め、受け入れることです。人間の知恵は「分別知」と言って他者と比べ、違いを知ることによって成り立ってもいるので、どうしても人と比べて自分の子どもを見て、発達が遅いとか早いとか考えてしまいます。しかし、実は、人は長い時間をかけて成長、成熟(他者と共に生きること)を身に着けていくのです。幼稚園時代に「保護者」や「他者」の目でお子さんたちを見て早急に判断しないことです。「助長」という言葉がありますが、早く稲が育つように毎日田んぼに行き、稲を早く成長させようとして「引っ張って」かえって枯らせてしまった中国の故事から由来するものです。このような愚かさから解放されましょう。保護者が肩から力を抜き、リラックスすると、子どもたちも楽になり、逆にのびのび成長するから不思議です。

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