変身願望?
東福岡幼稚園は、筥崎宮のすぐ近くにあります。毎年9月には、筥崎宮のお祭り『放生会』があり、幼稚園の子どもたちも、「地域の様子を知る、地域の行事に親しむ」の目的で、放生会の見学に出かけます。いろいろなお店の前を通り、あんなお店がある、こんなお店がある、あれがほしいこれがほしいなど、いろいろおしゃべりをしながら歩いて行きます。しかし、そのおしゃべりがピタッと止まるのが、お化け屋敷の看板の前です。お化け屋敷の中は見ることはできませんが、看板を見ただけで「こわい~」と立ちすくんだり、泣き出したり・・・でも、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と自分で自分を励ましながらそろりそろりと歩く子どももいます。お化け屋敷の前を通り過ぎると、また賑やかなおしゃべりが聞こえてきます。
子どもたちに一番人気があるお店は、『お面やさん』です。その年にTVなどではやっているキャラクター物、毎年必ずあるアンパンマンなど、たくさんの種類のお面があります。何かのアニメのキャラクターなのでしょうか?今年は、きつねのお面もありました。子どもたちは、それぞれ「アレ知っている!」「これ、買ってもらった」「あのお面がほしい」と、おしゃべりも最高潮に達します。今まで、たくさんのお店の様子にビックリしておとなしくしていた子どもも、急におしゃべりを始めます。
なぜ、子どもたちは、そんなにもお面に魅力を感じるのでしょうか? そういえば、私自身も子どもの頃、お面がほしくて買ってもらうまでそのお店の前で、ダダをこねた様です。(自分の記憶ではなく、祖父と母の記憶なのですが)それも、なぜかカッパのお面だったとのことです。しかたなく母はそのカッパのお面を買い、私にかぶせたところ、なんともピッタリだったとか!? これは、私の憶測ですが、子どもたちがお面に魅力を感じるのは『変身願望』から来ているのではないでしょうか? より素敵な自分になりたい、より大きな自分になりたい、より強い自分になりたい。子どもたちがTVで見たヒーローになりきり、見えない敵と戦ったり、アイドルになりきって、見えないファンの前で歌って踊って、手を振ったり。この様な姿は、よく見られることです。この願望を、よりはっきりとしたイメージで表すのが、お面なのだと私は思います。大人でもお面をかぶると途端に、普段、人前で演じている自分ではない自分が別のキャラクターとして出てくる様な気がします。大人の場合は、普段つけているお面を一度取り、他のお面に付け替えるという感覚だとは思います。
子どもも大人も持っているであろう『変身願望』を満たし、時には自分ではない自分を演じることで、より素敵な自分になってみたり、大人の場合は、それで息抜きができるのならば、もしかすると、時には、お面は必要なのかもしれませんね!!
確かにお祭りで売っているお面は、安価ではないと思います。買わない、買えないにしても、お面やさんの前で立ちどまり、少しの時間、子どもも大人もお面をかぶったつもりで、心の中で変身してみるのも必要かもしれませんね。