ぼく できた!!!
ある日、年中組の5歳の男の子が「
ぼく できた!!!」と園庭の鉄棒の前で喜んでいました。何のことかと思い、
その男の子に聞いてみると、
「あのね、運動会の時にはできなかったけど、今できた!!!」と言うのです。それは、鉄棒の前回りのことでした。
「ずっと自分で前回りのお稽古していたの? それでできたの?」と聞いてみると、
「ううん、今したら(前回りが)できたの!!!」とのこと。
今年度は、コロナウイルス感染拡大予防として、今までずっと行ってきた
縦割り保育を止め、できる限り学年同士の接触を避けるため園庭の使用時間は学年ごとに区切られ、例年に比べると、園庭でのびのび遊ぶ時間は
限られたものになってしまいました。そこで、保育室内でも毎日のように体を動かして遊ぶことを心掛け、
曲に合わせていろいろな体の使い方をして遊ぶ時間を
大切にしました。きっと、そうしたことで少しずつ体のバランスや筋肉、柔軟性も養われていたのでしょう。また、いろいろな動きをすることで、
どのように体を使えば良いのかということも、自然に習得していったのでしょう。
その男の子は、たまたま久しぶりに鉄棒をしてみると、なんと「前回りができてしまった!!!」のです。
運動会まではマットでの前転に補助を必要とした多くの子どもたちも、先日マットでの前転をしてみると、ほとんど補助なしでクルリ!!と上手に回転し、
子ども自身もビックリ!!ということもありました。
もし鉄棒やマットがもっともっと上達するようにと、運動会以降も毎日のようにその練習ばかりをしていたとすれば・・・もしかすると、「自分はできない・・・
鉄棒もマットも嫌い・・・」と悲しい思いをしていた
子どももいたかもしれません。もちろん、技術を磨くというために毎日同じ練習を何度も何度も繰り返すという方法はとても有効だと思います。しかし
幼児の場合は、
他の多くのことを経験することにより、
総合的な能力が養われるということもよくあることです。
コロナウイルスの影響で園庭で遊ぶ時間が少なくなり、
今できることを考え、
これで大丈夫かな?と思いつつ実行したことが良い結果を生み、
ホッとしたところです。いろいろなことに制限があっても、今できることを実行し、頭と体を使っていろいろな種類の遊びを経験することで、いろいろな能力が養われ、
「ぼく できた!!!」
「わたしも できた!!!」に何度も出会うそのような日々になりつつあることが、
とっても嬉しいです。