過去ログ
絵本(子どもと絵本の関係とは?)
子どもと「絵本」は、どのような関係があるのでしょうか? 「絵本」は、基本的には誰かに読んでもらい、子どもは読んでもらう人を通じてお話の世界を楽しむものだと思います。それは、大人の読書とは異なり、読んでもらう人や、その場所に一緒にいる人たちといろいろな気持ちを共有する、そのような楽しみもあるのではないでしょうか? また、子どもは文字が読めなくても、ひとりでページをめくり、ひとりでそのお話の世界を楽しんだり、文字が読めるようになると、文字を読むことを楽しみながら、自分なりに文章を解釈し、お話そのものを楽しむこともあります。
今、幼稚園では、縄跳びに興味を持った子どもたちや、保育終了後の体操教室で課題を出された子どもたちが、一生懸命に縄跳びの練習をしています。幼稚園だけではなく、家庭でも練習している子どももいるようです。
A君は、家庭でも体操教室の課題を一生懸命に練習しているそうです。でも、すぐに課題をこなせるわけではなく、なかなか本人の思うような結果が出なくて、それでも練習を頑張っているそうです。頑張っているのだけれど思うようにいかないときに、A君の心を落ち着け、気持ちを切り替える手助けをしているものが、「絵本」なのだそうです。
幼稚園では、一週間に一回、全学年幼稚園の「絵本」を貸し出しています。日頃から「絵本」に親しみ、絵本やお話の世界の楽しさを知っているA君は、一度、現実の苦しい世界から、自分が安心でき心を落ち着けることのできる世界に行き、心を整えて、そして、また現実の世界に戻っているのだと思います。
子どもと絵本との大切な関係を、Aくんからまた一つ、学びました。
「ページェント」たのしいな!
12月14日(土)は、🎄クリスマス礼拝・祝会です。東福岡幼稚園は⛪キリスト教の教会の付属幼稚園なので、毎年12月には✨「ページェント」を全園児で行っています。「ページェント」とは、👶🏻イエス・キリストが生まれた時の出来事を、劇にしたものです。
✨「ページェント」は、毎年全園児で行っているので、いろいろな役の♪歌や😀台詞をすでに覚えている👦🏻👧🏻年長組や👦🏻👧🏻年中組の子どももいますが、覚えてはいるもののやはりそれは正確ではなかったり、😀台詞や♪歌のメロディーを自分でアレンジしていることもあります。👦🏻👧🏻満3歳児や👦🏻👧🏻年少組、また今年入園した👦🏻👧🏻年中組の子どもたちは、✨「ページェント」の練習を始めたばかりのころは、自分の役の♪歌や😀台詞を覚えるだけで精一杯! しかし、毎日少しずつクラスのおともだちと一緒に✨「ページェントごっこ」(好きな役や興味のある役になり、🎄クリスマス礼拝・祝会で自分がしてみたい役の候補を考える時期にする遊び)をしていくうちに、希望する役の候補が決まり、その役の♪歌や😀台詞を覚えていきます。
全員の配役が決まると、練習が始まります。🎄クリスマス礼拝・祝会の1~2週間前になると、自分の役の♪歌や😀台詞が自分のものとなり、最近では、廊下を歩きながら、手を洗いながら、トイレの順番を待ったりトイレで用を足している、そのようなリラックスしている時に、子どもたちが♪歌や😀台詞を口ずさんでいる姿が見られるようになってきました。また、自由遊びの時間に、数人でそれぞれ🤗お気に入りの役を演じて遊んでいる姿も見られます。
年長組の女児の中には、✨「ページェント」の登場人物や動物を粘土で上手に作り、自分のロッカーの上に飾っている子どももいます。飼葉桶に寝かされた👶イエス・キリスト、👩母のマリア、👱♀️天使、🐏羊など、いつの間にか作品の種類も増えていました。
全園児参加の✨「ページェント」を計画したのは、もちろん👩🏽保育者なのですが、今では、それは👦🏻👧🏻子どもにとって【させられるもの】ではなく自分たちの【遊び】の一つになってきています。💖自分で役を選んだということが、一番の理由ではないでしょうか。
年上のお友達が演じる役を見ながら、「ぼくは、ひかり組になったら、天使のガブリエルがしたい❣」とか、今年の役がとてもお気に入りのようで「大きくなっても、ずっと🐏羊の役がしたい❣」とか、いろいろな思いを持っている子どももいるようです。
わたしがあそんであげる
満3歳そら組の子どもたちは、それぞれ3歳の誕生日を迎え、3歳になると入園してきます。ですから、4月に入園する子どもはとても少なく、年度の途中からどんどんクラスのメンバーが増えていくのです。
11月になり入園してきたA子ちゃん。幼稚園に入園することはとても楽しみにしていたようですが、朝の登園でお家の方と別れる時には寂しくなり、ぽろっと涙も・・・ それはそうです。例えば、入園を旅行に例えるならば、今までの未就園児クラスでは保護者と一緒に登園し、保護者が添乗員さんの役割を果たしていたようなものです。しかし、入園となると、添乗員の保護者はいなくなり、現地係員の「先生」がいるだけで、「だいじょうぶ!せんせいがいるからあんしんして」と言われても、よくわからない言葉で話しかけてくるし、一番頼れる添乗員さんはいなくなるし、もうどうすればいいの?・・・と言った状態なのだと思います。
ここで活躍するのが、新入園児の気持ちを一番理解し、心配してそばで優しく見守ることができる、少し先に入園した同級生や年上の子どもたちなのです。
年中組のB子ちゃんは、入園前からA子ちゃんのことを少し知っており、A子ちゃんの入園を楽しみにしていました。入園初日、A子ちゃんが泣いているとB子ちゃんが心配そうにやってきて、A子ちゃんの様子をしばらく見ていました。そしてB子ちゃんはこう言いました。「わたしがあそんであげる!」 その言葉は、私に任せてと言わんばかりのとても力強いものでした。実は、B子ちゃんも入園当初、同じように寂しくて悲しくていっぱい泣いた経験があったのです。私は、B子ちゃんならと思い、信頼し、B子ちゃんにA子ちゃんを託しました。
B子ちゃんがどのようにA子ちゃんと遊ぶのかを少し離れたところから見ていました。すると二人はブランコに行き、A子ちゃんはブランコに乗り、B子ちゃんがそうっとそうっとブランコを押してあげていました。次第にA子ちゃんの涙も止まり、B子ちゃんの優しい笑顔に見守られながら、二人だけの優しい時間がながれていきました。優しいお日様の光を浴びたこの二人の姿は、西洋画の主人公のように見えました。
ここで、重要なのがB子ちゃんがなぜたくさんの遊びの中から「ブランコ」を選んだのかと言うことです。一番に考えられるのは、単純にA子ちゃん自身がブランコが好きだからという理由です。もちろんA子ちゃんに聞けば、その答えはすぐにわかるのかもしれません。でも、理由なんてないのかもしれません。ただ、一つはっきりしていることは、B子ちゃんが寂しさや悲しさを感じているA子ちゃんの気持ちをそのまま丸ごと受け止めて、楽しさを伝えてあげたということです。「ブランコ」は日常の生活では絶対に経験できない、特別な世界を体験させてくれる面白い遊具だと思っています。もしかすると、B子ちゃんはそのことを知っていて、A子ちゃんにもその楽しさを味わってほしくて、そして今だけ少しだけ、特別な世界へと連れて行ってあげようと思ったのかもしれません。自分がついているから大丈夫だよと言う気持ちと一緒に・・・ 保育者は、みんなから「せんせい」と呼ばれていますが、それは子どもたちよりただ先に生まれただけのこと。子どもにとって本当の先生は、一緒に生活している子どもたちなのかもしれません。
おおきい? ちいさい? ちゅうくらい?
10月31日に、毎年恒例の「いもほり遠足」に全園児・全職員・未就園児クラスの子どもたちと保護者で行きました。雁ノ巣レクレーションセンターのいも畑はとても広く、見渡す限りいも畑が広がっています。畑に着くと子どもたちは大喜び!! 皆で一斉においもを掘ります。
東福岡幼稚園は、みんなで収穫したお芋を集めて、沢山収穫できたことを喜び、後でみんなに平等に分け、お家に持って帰ります。いもほり遠足の後に予定している「やきいも」や「さつまじるパーティー」のためにもおいもを少し幼稚園に置いておきます。みんなで分けるのは、神様から大切な食べ物を頂いたことをみんなで感謝し、収穫をみんなで喜ぶという意味があるからです。
畑でおいもを掘った時に、子どもたちには一つの課題が与えられます。それは、自分で掘ったおいもを「おおきいおいも」「ちゅうくらいのおいも」「ちいさいおいも」に自分で仕分けすることです。この仕分けは感覚で行うものなので、人によって少し異なります。しかし子どもたちは最初はその基準がわからず、仕分けする箱の前で戸惑ってしまい、収穫したお芋を手にじっと立っています。仕分けを補助する保育者が、「これはおおきなおいもだから、こっちの箱に入れてね」とアドバイスをしていきます。何度か自分で箱に入れるうちに、多くの子どもたちが自分の感覚で上手に仕分けができるようになっていきます。
なぜ、子どもたちは、短時間で感覚としての仕分けができるようになっていったのでしょう? たぶんそれは、何度も同じ経験を、最初はアドバイスを受けながら、そしてその基準を自分なりに感覚として理解し、それを繰り返したからではないでしょうか? この姿を見ていると、繰り返しの経験がいかに大切なことなのかが解ってきます。毎日休まず幼稚園に登園している子どもたちが、毎日同じ経験を繰り返すことで少しずつ自信を持ち、大きな行事に不安を持ちながらも楽しみに出来るのは、この小さな毎日の繰り返しの経験が自信の基礎になっているのだろうと私は思っています。
くっつくかな?
磁石を使った手作りおもちゃの試作品を作り、実際にいろいろな年齢の子どもたちがそのおもちゃでどのように遊ぶのかを観察していた時のことでした。「磁石のついた小さな魚を、磁石のついた釣竿で釣る」という遊びを、どの年齢の子どもたちもとても楽しんでいました。
その遊び方を一番喜んだのは、私の予想通り満3歳児と年少組の子どもたちでした。彼らは、魚を机の上にランダムに置き、最初は魚を1匹ずつ釣っていましたが、偶然に2匹、3匹、4匹と同時に釣れると、今度はたくさん釣ろうと釣竿をの使い方を工夫するようになりました。
年中組の子どもたちは、最初は同じように1匹ずつ釣っていましたが、そのうちに魚をひとところに集め、一回で4匹釣って遊ぶようになりました。どのような集め方をすると簡単に釣ることができるのか?も考えるようになりました。
さて、年長組の子どもたちは? もちろん最初は、魚を1匹ずつ釣っていましたが、すぐに数匹まとめて釣る遊びに変化しました。その後、釣竿と魚を友だちと数人と分け合い、自分や友だちの体、木製の机や椅子やロッカー、紙製のお道具箱、窓ガラス、タオルかけ、布やプラスチックのおもちゃなどなど、いろいろな物に釣竿の磁石と魚とをくっつけて遊び始めました。いろいろな素材に磁石をくっつけて「あ!ほんとうだ」「これ、してみて」と自分たちで情報交換をしていました。自分で試したことを友だちに報告したり、友だちが出した結果が本当にそうなのかを自分で確かめたり、部屋の中をあちらこちら動き回って、大忙しでした。そのうちに、磁石がくっつきそうな物を予想して、実際にくっつけてみてその当たりはずれの確率を楽しんでいました。そして、友だちといろいろな物を前にして「これは、くっつくでしょうか?くっつかないでしょうか?」と問題を出し合い、その正解率を競い合い、「やっぱりくっつくと思った」「これは、木で作ってあるから、くっつかないよ」など、予想をしたり、すでに知っている結果を伝えあいながら遊んでいました。
年長組の子どもたちの遊びの様子を見て、私はとっても嬉しくなりました。子どもたちは、「ちいさなけんきゅうしゃ」になっていたからです。誰かに教えてもらって知識が増えることも、もちろん大切なことです。しかし私は、子どもたち自身が、知りたい、試したい、どうして?と思い、自ら体験し、その結果を導き出すことがとても大切だと思っています。結果を出すまでには、確かに時間はかかるでしょう。でも、時間がかかった分だけ、子どもたちの体と心の栄養になっているとは思いませんか?
自分で試して、自分で結果を出し、もっともっとと向上していく子どもたちを、すぐ近くでしっかりと見守ることが、身近にいる大人の役目なのではないでしょうか?