過去ログ
パズル
🤔「『パズル』は、何歳からできますか?」という質問を受けることがあります。実際、子ども自身が自分でパズルで遊ぶようになるのは、指先が十分に使えるようになってからなのですが、👶赤ちゃんであっても、パズルの種類にもよりますが、とても簡単な物ならば、大人が子どもの目の前でしてみせ、それを子どもが😊😃見るという遊び方も良いと思っています。
『パズル』には、色々な種類があり、また難易度も様々です。指先で十分に物をつまむことができる🧒2歳くらいのお子さんであれば、木製で、パズルのピースにポッチが付いた物であれば、ひとりでも遊ぶことが出来るでしょう。しかし、子どもが、明らかにその子どもの発達には見合わないと思われるとても難易度の高いパズルがしたいと言った時には、どうでしょう。😟大人は本当に困ってしまうこともあるのではないでしょうか? 「あなたにはまだ難しいから、もう少し大きくなってからしましょう」と言うのも、一つの方法です。しかし、子どもは「はい、わかりました。今の自分の実力には合わないのでそうします」と素直に答える🤬のでしょうか?
最初から、すべてのピースをはめ込む方法は、子どもにとっても、また、途中で子どもが投げ出した時に、それを片付けなければいけない大人にとっても、😠とても負担になります。そこで、私は、幼稚園ではこのような方法を使っています。どのようなパズルでも、初めてその子どもがする時や、明らかにその子どもの今の実力では、一人で最後まで完成させるには無理だと判断したときには、パズルを見せて子どもに、😊「このパズルの、どの絵の所をしてみたいの?」と聞きます。子どもが☺「ここ」と指差した絵の周辺のピースを、数枚外します。そして、その部分だけ、子どもに🙄「ひとりでしてみる?」と言い、子どもがする姿を見守ります。子どもは、たった数枚ピースをはめ込んだだけですが、その数枚をはめ込むことで、そのパズルは完成します。🤗「すごい、パズル出来たね!!!」と褒めると、子どもは、😍「できた!!!」と大喜びです。部分、部分のピースをはめ込むことを何度か繰り返して経験することで、子どもは、ピースの特徴や、はめ込むときのヒントやコツを自分で習得していきます。そして、子どもが、自信を持ち😀「全部する」と言った時には、大人は躊躇せずに「ひとりでしてみようね」と見守ります。途中で、子どもが投げ出しそうになった時には、😘「このパズル、本当に難しいよね。」と共感し、わかりやすいピースを子どもに手渡し、「このあたりだったような気がする」とはめ込む位置のヒントを出します。ヒントを出したり、時には少し手伝ったりしながら、一緒にパズルを完成させます。しかし、子どもがどうしても、嫌がったり、時間不足の時には、🙂「また、明日にしよう」と一度終了します。
😒「出来ないからしない・させない、出来そうにないからしない・させない」で子どもに諦めさせるのではなく、できそうな方法を見つけ、💞子どもの成長発達を支えたり、💖意欲を認めることも、大人の大切な役割ではないでしょうか?
おそうじごっこ「ぞうきんしぼり」
1学期の終園式の前日、年中組と年少組と満3歳児が、日頃自分たちが使っている保育室の床の拭き掃除をしました。年少組と満3歳児も、水筒のお茶などをこぼした机を台拭きで、また床を雑巾で拭くことは日頃から経験していましたが、台拭きや雑巾を洗って、絞り、そして干すという経験は、ほとんどしていませんでした。それで、次の課題の「洗う・絞る・干す」を1学期に幼稚園で沢山の経験をした子どもたちが、それらの活動をどのくらい自分なりに理解し、実行できるのかを子ども自身が知り、保育者が一人一人の今後の目標を立てるために、「おそうじごっこ」と言う活動で実行してみました。
当日、子どもたちは新しい課題にとても興味を持ち、やる気満々で取り組みました。最初は小さな雑巾をさらに自分たちの手に収まる大きさにたたみ、各自のロッカーを拭きました。それが終わると、みんなで一斉に床を拭きました。でも、ただ床を拭くだけではだんだん飽きてくるので、自分の正面に来たお友だちと「じゃんけんをする」という遊びも加えました。じゃんけんをするためには、自分からあちらこちらに動いていく必要があり、床を拭く距離も自然に伸び、早くじゃんけんをしたくなって、拭くスピードも上がってきます。保育室の隅っこには拭き残しもありましたが、そこを保育者が拭いていると、誰かが近寄ってきて、一緒に拭きました。課題となる活動の中に楽しい遊びを加えることで、子どもたちは楽しみながら、沢山の経験をしたり、「拭き掃除」「友達と協力する」「一定時間内で目標を達成する」などなど、大切なことを身につけていくことができました。
さて、拭き掃除の後は、「雑巾を洗う」「絞る」「干す」と言う3つの課題がありました。もちろん、最初から方法を教えるということも大切ですが、私はまずは自分でしてみて、子ども自身が経験の中から、自分で課題を見つけることが最も大切だと考えているので、「とにかく、自分で考えたようにやってみよう!」と伝えました。ただ、絞るという動作だけは、想像できない子どもがいたので、自分のしやすい手で反対方向にねじるということだけは伝えました。みんな、ねじると言う動作にはかなり苦戦はしていましたが、なんとなくそれに近い方法を見つけ出し、実行していました。もし、この時に全くできない子どもがいたとしてたら、私はまだその子どもの手の機能の発達が、絞る動作にまで行っていないと判断し、無理に絞る動作はさせないつもりです。子どもたちは、自分でいろいろな課題にチャレンジしたことにとても満足し、「たのしかった!!!」と言い、降園しました。
さて、まだ上手に課題を達成できない場合はどうしたら良いのでしょう? もちろん、同じ課題を毎日繰り返して練習をすると言う方法もあるでしょう。しかし、ここでとても有効なものがあります。それは、おもちゃです!! 例えば、「絞る」ための手首の返しがうまくいかないのなら、カードをめくって遊ぶ様なおもちゃや、サイコロを振って遊ぶことで、手首を使う経験をするもの良いでしょう。子どもはおもちゃで遊んだりや、そのほかのいろいろな遊びを通して遊びながら様々な経験をすることで、いつの間にか必要な機能を獲得することができるのです。機能を獲得するためにおもちゃで遊ぶのではなく、おもちゃで楽しく遊ぶうちに生活に必要ないろいろなことができるようになる、それがおもちゃの役割りだと私は考えます。
ケンケン
満3歳のそら組(誕生日が来て3歳になってから入園する子どもたち)と少つき組(3歳で入園し、誕生日が来て4歳になる子どもたち)は、音楽に合わせて体を動かすことを、今とても楽しんでいます。幼稚園に入園し、自分の体がいろいろな動きをすることを知り、また、自分で「こんなこともできるんだ!」と発見したり、お友だちと一緒に同じ様な動きをして、それを楽しいと感じたり,年上の子どもたちがスキップやケンケンなどをする様子を見て、自分もあのようにしてみたいと憧れを抱いたり・・・
子どもたちに、少し難しい体の動きを経験し、バランスの良い体を作ることを学んでほしいとの思いから、今はみんなで「ケンケン」をしています。5月の終わりには、すでにケンケンをしている子どもはいたのですが、それはほんの少しの人数でした。ほとんどの子どもは、「ケンケン」と言うものがどのようなものなのかさえも、まだ十分にイメージできていない様子でした。「ケンケン」を子どもたちがゼロの状態からどのようにして獲得していくのかを改めて知りたいと思い、観察しているところです。
ある日、まだ「ケンケン」が全くできない年少組の男児2人が私に質問しました。「せんせい、どうしたらケンケンができるようになるの?」 年少組の子どもから、技術についての質問が出たのはビックリでした。「ケンケン」は片足で自分の体重が支えられるだけの筋力が必要で、そして片足でうまくバランスをとることが一番のポイントだと思ったので、私は、自分なりに考えた練習方法を伝えました。「登り棒や鉄棒につかまってケンケンをしてみたらどうかな?」 物につかまり、手で自分の体を支えながら「ケンケン」をすることで、「ケンケン」をしているときに自分の体がどのようになっているのかのイメージが湧き、また、まだ筋力が十分に備わっていない足に負担がかからないこと、そして、「ケンケンができた!!」と言う喜びが味わえること。そのように考えて、練習方法のアドバイスをしました。2人の男児はその後、幼稚園では、外廊下の屋根を支えている柱につかまって自分で練習していました。家庭でも熱心に練習していたそうです。そして、彼らの成果は・・・? 少しずつ「ケンケン」ができるようになってきました。これは、1~2週間での話です。
子どもが自ら、何か目標を持ち、やり遂げたいと思った時、私たち大人は何をすればよいのでしょう?その姿を、いろいろな時に認め、焦らせないで見守ることが一番大切だと思います。同時に、やはり正しい完成形の姿を実際に体験させること(今回の「ケンケン」の場合は、物につかまりながらケンケンすること)で、正しいものをイメージすることができ、少しでもそれに近づこうと子ども自身が自分なりに工夫をすることで、応用力も備わってくるのではないかと思います。
さて、まだ「ケンケン」ができない他の子どもたちはどうしているのでしょうか? 彼らも、「ケンケン」は片足を上げることだけは確実にイメージしているので、今は、とりあえず片足を上げ、前に一歩進もうと頑張っています。しかしあまりに、後ろになる足を高く高く上げているので、バランスを崩して一歩進んでいるといった状態です。それでも彼らは、その状態でも前には体が進むので、「ケンケン」ができたと大喜びしています。私も一緒に「できたね!」と喜んでいます。子どもが「できた!」と言った時は、本当にはできていなくても、周りにいる人たちはやはり一緒に喜ぶことで、子どもは自信を持って次の目標に向かって自分自身で進んで行くのではないかと思います。
園庭があること
先日から、安全な場所にいたはずの保育園の子どもたちが、交通事故に会うという、とてもショックなニュースが伝えられています。園児たちが逸脱した行動をとったわけでもなく、保育者が危険な保育をしたわけでもなく、ただただ、車の運転者のミスによることが原因でした。
私たちの東福岡幼稚園は、住宅街の中にある小さな幼稚園です。園庭がとても狭いので、実は私は、この園庭がもう少し広ければ良いのになと、いつも思っていました。実際、自由遊びの時に、年長組の子どもたちがドッチボールをしたいと希望すれば、縦長の狭い場所を使用するか、または、砂遊びをしている子どもたちに遠慮してもらい、場所を移動するという方法しかないからです。鬼ごっこをして走り回ることもできますが、その時も同様、砂遊びと鬼ごっこの空間を仕切り、どちらの空間も狭くなってしまうこともあります。それで、私は「もう少し広い園庭だったら、もっともっといろいろな遊びが自由にできるのになあ」といつも思っていたのです。
しかし、今回ニュースで伝えられた交通事故を考えると、「狭くても、全て砂場の園庭があって、本当に良かった!!」と心から思い直したのです。道路に直接面した園庭ではないので、いつも子どもたちが遊んでいる空間は、車が突っ込んでくる危険性はとても低く、そして、何よりも、園庭全体が砂場なので、どこでも砂遊びができ、水も豊富に使うことができ、保育室からすぐに裸足で園庭に出ることだってできる・・・ よくよく考えてみると、本当に素敵な園庭だったのです!! でも、ちょっと狭いのですが・・・ 砂場での遊びには、とても大切な要素がたくさんあり、教育的意義も大きいと言う砂遊びの研究もなされています。狭くても、安全で素敵な園庭があることに、改めて感謝しました。
桃太郎に何を持たせますか?
『桃太郎に何を持たせますか』
この文を読んだ時、皆さんは「なんのこと?」と思うことでしょう。4月初めに、或る新聞にこのような題名で、30歳の二人の子どもを持つお父さんが、投稿をした文の題名です。この投稿は、「今子育てする親に聞きたい。あなたなら、桃太郎に何を持たせますか。」という文章で始まっています。そして、桃太郎はきびだんごを持ち、仲間を見つけ、鬼退治に向かいますが、今に置き換えるなら、武器を持たせることになると続いています。しかし、武器がなくなった時はどうなるのでしょう?
このお父さんは、親として、どう鬼を退治するのか『考える力』を身につけさせることが大切だと言っています。
『考える力』は、小学生以上なら、学習・勉強としての机の上の学びが主になってくるでしょう。では、乳幼児の場合は、いかがでしょう? 子どもたちは、じっと机の前に座って1時間近くも人の話を聞くことが出来るでしょうか? もちろん、そのようにできるお子さんもいることでしょう。しかし、多くの子どもたちは、そううまくはいきません。子どもたちに必要なことは、実体験で学ぶことだと私は思います。例えば、赤ちゃんが歩行が上手になっていく過程を考えてみましょう。はじめて、自分一人で歩き始めようとする赤ちゃんが歩行の過程が書いてあるテキストを見て、その内容を十分理解してから、足を前に出して、その足の角度や距離が正しいかどうかを確認してから、一歩目を踏み出すのでしょうか?たぶん、その様な赤ちゃんはいないでしょう。何度も何度も自分で試して転んで、失敗を繰り返しながら、実体験を通して頭と体で感じ、学んでいくのではないかと思います。
幼稚園の子どもたちも、これから生きていくうえで本当に必要なことや大切なことを、集団生活の中で、また、遊びの中で実体験を通して、経験を通してたくさん学んでいきます。どんなときにも、人を傷つける武器ではなく、人と一緒に生きていくための『考える力』を子どもたが経験を通して学んでいくことができるようにしたいと考えています。
みなさんは、わが子に、何を持たせますか?